素材コスメを使う道具たち #2

素材コスメを使う道具たち #2

手のひらは、もっとも身近な道具。
わたしたちが選ぶ素材コスメもまた、その延長にある。

GOLEMは、「道具=自分の感性の一部」ととらえます。
毎日使うものだからこそ、その触れ方、素材、佇まいにこだわりたい。
道具を選ぶことは、自分の時間の質を選ぶことでもあるから。

 

車を停めた瞬間、まず目に飛び込んできたのは、住宅に隣接するアトリエの奥にある、開放的な工房で黙々と作業に打ち込む二人の姿でした。
正面の大きな窓からは、光に染まった田園風景が広がっています。
炎の熱気が立ち上る中、赤く溶けたガラスに息を吹き込み、素早く成形していく。その一瞬も気を抜けない緊張感と、リズミカルな動きが、見る者を惹きつけます。


作業の合間には、あいさんと努さんが言葉を交わさずとも、互いをサポートし合う様子が印象的でした。
息のぴったり合ったコンビネーション。
それぞれの役割を大切にしながら、ひとつのものを作り上げていく姿に、心を打たれます。
ダイナミックで、繊細で、命が吹き込まれる瞬間に立ち会っているような感覚。

 

工房の隣には、住宅とつながる小さなアトリエが静かに佇んでいました。
中に入ると、そこには穏やかな時間が流れ、小窓から見える景色と溶け合うように、あいさんと努さんの作品たちが静かに並んでいます。

ふたりの作風はそれぞれ異なるのに、不思議と混ざり合って、空間の中で自然な調和を生んでいました。
差し込む光にゆらめくガラス、その細部に宿る繊細さに、思わず息をのみます。
「どうやってこの形が生まれるのだろう」と思わず想像を巡らせ、一点一点の作品に込められた時間や手仕事に思いを馳せました。

 

GOLEMとfloresta fabricaさんの出会いは、私にとってもとても特別なものでした。
静岡県西部にある "森町" 出身の私に、知人が「代官山で森町の作家さんの展示があるよ」と教えてくれたのがきっかけ。足を運んだその展示会で、初めてお二人に出会いました。

その場でGOLEMのこともお話しする機会があり、「実は息子がアトピーで…」というお話から、素材のことや、肌に触れるものへのまなざしを共有するような時間に。
お二人がGOLEMを手に取ってくださったのは、そんなきっかけからでした。

実は、以前からGOLEMのプロダクトに合う「ガラスキャニスター」を作りたいという想いがありました。
けれど、素材や仕様、ロットの面でなかなか実現できずにいた中で、同じ森町という共通点で出会えたfloresta fabricaさんが、すでにキャニスターを制作されていたことを知りました。

 

そして今回、ロンハーマンでのPOPUPが決まり、バイヤーの首藤さんからこんなお話が。
以前から、GOLEMのアイボリークレイとスパイスを混ぜて歯磨き粉を自作し、それを小さな蓋つきキャニスターに入れて洗面台で毎日使っている、というのです。
「そんな容器があったらいいのに」というアイディアが重なり、今回のガラスキャニスターの制作が動き出しました。

 

形は、お猪口をベースに、蓋を落とし込むような仕様に。
あいさん、努さんにもアドバイスをいただきながら、ひとつひとつ丁寧に形になっていきました。

素材コスメが努さんの作品と共に、生活を静かに飾ることを願っています。



プロフィール
静岡県・森町。緑に囲まれたその場所にある、吹きガラス工房「floresta fabrica(フロレスタ ファブリカ)」は、鈴木努・鈴木亜以が夫婦が営む、手しごとの場。ポルトガル語で「floresta=森」「fabrica=製作所」という名の通り、森の恵みとともに、静かに美しくものづくりを続けています。


 Words by Nana Kawabata